映画『sing』で、日本語吹き替え版と字幕版を観た。
 日本語吹き替え版は当たり外れが激しいけれど、割と良かったと思った。でも字幕版を観た時、もっと良いと思った。
 特に、スカーレット・ヨハンソンの『Set It All Free』は、すごく良い。CDで聴いて、夫と「スカーレット・ヨハンソン良いね」と言っていたけど、映画を通して観ると、ますます良い。映画自体、言葉のニュアンスや全体的なセリフの抑揚に、字幕版の方が良かったなあと思わせられたけど、どうしてこんなに印象が違うのだろうと、帰りの車で夫と色々考えてみたりした。
 まあ専門家でもないしよくわからない。好みもあるだろうし。
 ただ、スカーレット・ヨハンソンは声が太い。そしてこの声が、ロックにあっていると思うのだ。長澤まさみがイマイチなわけではない。上手だったし、聴くと気分は爽快。ただなんだか声が細い。迫力はあるのに。それは多分長澤まさみだからとかじゃなくて、多くの日本人の特徴なのかなと思う。ロックには太い声の方が合うというか、私の好みである。その証拠に、『アナと雪の女王』では、松たか子と神田沙也加がすごく良かった。アメリカ版の本人たちより、いや、なんなら世界中の人たちよりその二人の声が良かった。そしてそれは声のちょっとした細さによる若さみたいなものが表れているからだと思われる。あのキャラクターは、声が細いのが良い。それでいて張りがあって伸びもある。
 とすると、日本人は誰が歌ってもスカーレット・ヨハンソンみたいにならないのかと思ったが、松岡茉優がいた。彼女は喋る声と歌う声でずいぶん違うようで、CMで披露していた歌声が、とても良かった。少しはスキーがかっているけど、太くてしっかり喉を開けて歌っているようだ。声質が良い。
 ならば、声質で決まってしまうのか。
 そうかもしれない。
 だけど、それは自分にとっても寂しい。私も太い声を出したい。ロックな曲を歌いたい。澄んだ声だけではロックの味が出ない。何とかならないだろうか。
 色々考えながら、『Set It All Free』を練習していた。とりあえず歌詞は楽勝で追えるようにならないと、思うようになんて歌えるはずがない。譜割が難しかったので、2日に分けて、合計20回くらい練習すると歌えるようになった。あとは感情を込めることができるくらいにまで余裕で歌詞を口ずさめるようになりたい。
 感情を込める……??
 日本人の歌手だって感情がこもっているではないか。ロックな声を出すにはどうしたら良いのだ。ヴォイストレーニングを受けて、まずは発声から、自分の体を楽器として美しく鳴らしてからである。とわかってはいるけど、上手なミュージシャンも多くがロックではない。聴いていて声が一本調子な気がする。感情を込めているのになんでだ。
 また考えるきっかけになった。