他には、スヌーピーウッドストックが私にとっては定番だった。ちょっと形の違うスヌーピーなんかも持っていて、ウッドストックはビーズのような物が中に入っており、そのちょっとクタッとした感じが可愛かった。何故かこれは従妹がとても気に入っていたので、長い間手元にあった。
 そして中学生頃にはぬいぐるみは必要なくなり、気が付いたらもうぬいぐるみはその辺に飾るだけの遠い存在となっていった。ちなみに、祖母に買ってもらったうさぎのぬいぐるみは、まだしばらく置いていた。
 夫と結婚し、ニュージャージーで暮らしていた間もぬいぐるみがどうのとか思い出したこともなかった。しかし札幌に移り住んでから。
ニュージャージーの時にルームメイトをかってでてくれた、中学生からの友達、Kちゃんから、ぬいぐるみのプレゼントが届いた。体長20センチくらいだろうか。今までのぬいぐるみの概念を覆すように、そのぬいぐるみは、両手足を広げ、本当の犬のようにペタッとお腹が床にくっつく。中身は以前持っていたウッドストックのように、ビーズのようだ。「最近、ここの会社のぬいぐるみがはやっているねん」とのことだった。このぬいぐるみを気に入ったのは、当時私にとっては驚きの「夫」であった。ぬいぐるみ……って、ぬいぐるんでいるの? ぬいぐるまれているの? と、うるさいくらいによく聞かれた。笑って流すと何度も聞かれた。知らんがな。
 夫がぬいぐるみ好きとは知らなかった。夫はその後、そこの会社のあらゆるぬいぐるみを買い始めた。と言っても、犬と鳥がほとんどである。そこの会社のぬいぐるみ、ほんのちょっとだけリアルで、全部がクタッとした感触で、腹這いなのである。それがいたく気に入った様子。次々と色々な犬種を買い、鳥も色々な種類の物を買った。正直、多すぎて困っている。私は内心、ダニとかものすごく気になっている。そして、これは息子がさんざん遊んだ後、クローゼットに片付けられているので出していない。ますますダニが気になっている。
 そのうち、夫はカエルのぬいぐるみを欲しがった。セサミストリートカーミットや、児童文学作家アーノルド・ローベルの描く「がまくんとかえるくん」がぬいぐるみになったもの。それもノーマルバージョンと、冬バージョン。衣装が違う。どちらも可愛い。でも夫がそんなにカエルが好きだとは知らなかった。
 しばらくカエルを集めていたが、やはり犬も好きなようで、犬、特にヒゲがもしゃもしゃした感じの犬のぬいぐるみをクリスマスプレゼントなどにすると、とても喜んでくれる。
 そうやってコレクションとなったぬいぐるみは、枕もとでどんどん増えている。私に押し付けてくることもあるが、私は寝る時にぬいぐるみがそばにいると気になると言って、夫の枕もとに戻す。自分も昔は枕もとに置いていたのに。そして夫は、そのカエルたちをつまみながら「ワンワン!」とか言っている。夫はカエルが好きなのか。犬が好きなのか。
 まあどっちも好きなのだろう。