夫が外国へ出張に行くと、よくちょっと変わったボードゲームを買って帰ってきてくれた。ルールは簡単でも絵柄が可愛かったり、簡単なルールとは言えちょっとした工夫で勝ったり負けたりするのである。息子は立体的なパズルゲームもスキだったようで、図を見ながら、どのようにしたらその形になるかを頑張ってみたり、平面のパズルで誰が一番陣地を取れるか、邪魔したり広げたりなかなか頭を使うゲームも面白かった。小さな物では、マスを使って人が脱出する物だとか、トラックや自動車を移動させて脱出させるゲームなど、大人でも楽しめるような物を買って帰ってきて、二人で夢中になって遊んだこともあった。
 夫は将棋が好きなので(息子の名前も棋士二人から取ったものである)、将棋を教えたり、チェスを教えたりすると、息子もすぐに覚えた。でも息子はいつまで経ってもスキだらけで、同級生のチェスや将棋の強い子に簡単に負ける。わざと変な駒の動かし方をしたり、相手の注意をそらしながら勝手に相手の駒を動かしたりして「もう!」とか叱られ「うへへへへ!」と嬉しそうに笑っている。その程度で良いらしい。
 あと息子はバックギャモンがすごく好きだった。これは私がいくら本気になってもどうしても勝てないことが多かった。技の名前を覚えるのも好きでカッコいいと思っているようだった。
 ボードゲームと言えば、コピットゲームも好きだったようだ。何度もさせられ、これは手加減が難しく、良い手があっても気付かないフリできるのは本当に幼い頃のみだったので、運任せなこのゲームにはついつい勝ってしまい、グズらせてしまった。
 黒ひげ危機一髪やジェンガなどの単純なゲームも好きだったが、夫が、ある日教えてくれて買ってきたカードゲーム、ドミニオンにハマったこともあった。
 これは作戦も運も必要なのだが、何よりカードのルールを覚えるのが複雑で、ルールを説明されても全然わからないとか、その時わかってもすぐ忘れるので、息子が一生懸命説明してくれたし、毎回忘れる私は毎回ルールを聞いて新鮮な気持ちで臨むことができた。ちょっと夫も息子も呆れていたと思う。でもそういう意味で頭を使った。何故かこれが息子に大ハマりして、私は一回一回疲れるので、たくさんはできなかった。夫がよく付き合ってやっていた。
 漫画『ちはやふる』のお陰で、三人して読むものだから、三人して百人一首にハマったことも一瞬あった。毎回少しずつ覚えて、札を増やしていったが、これはついつい夫も私も本気になり、息子を置いてけぼりにしてしまった。さすがにグズる年齢ではなかったが、やはり三人して疲れてしまい、ブームは去っていった。漫画はまだ続いているけど。
 他にもブロックスなど、親子でかなり遊んだ。コンピューターゲームを買って遊んでいる時期でも、ボードゲームは息子が率先してよく遊ぶので、それにつきあった。