『アラルエン戦記』の7巻、8巻が出て、読み終えた。
 7巻と8巻は、話が続いていて7巻で話が一段落しない。しかし8巻発売を待てなくて、早々に7巻を読んでしまった。7巻を読み終えて、どうやってこういうところを切り抜けることができるのかなと色々思いを巡らせはしたが、ドキドキして仕方ないとか続きが読みたくてたまらないということにはならなかった。良かった。
 そして8巻が出たので、少しずつ読み始めた。また必死にならないように気を付けながら。読み始めは、7巻読了から何か月も経っているので、誰この名前は。とか、アレ?何でこんなことになっているんだっけ。とか、この人の名前は聞き覚えがあるけど何でいるんだっけ。とか、まったく自分の記憶があてにならないことを知り、7巻をざっと復習することになった。それでも読み飛ばしている場面があったので、8巻で疑問があると、また7巻を探ったりした。納得しながらゆっくり読み進めていった。良いペース。
 しかし物語の展開として当たり前のことなのだが、とうとうある場面でメンバーたちが窮地に陥った。ここでまた私は不謹慎にも後ろの方のページをパラパラ見ながら、どの辺でこれが解決するのかを探った。
 ……。そうか。ここから150ページくらい読まないと解決しないのか。その厚さを指でつまんでため息が出た。……わかってはいたけど、150ページの間、ずっとこの窮地に追い込まれた状態を読み続けるのは大変だなあと思いながら、ページをめくる。どうせしばらく一段落しないのだから、ゆっくりで良いやもう。
 と思っていたのに、ある場面からまた止まらなくなってしまった。心臓もバクバクしてきた。一段落するのを知っていながらである。どうなるのか、どうするのか、どうやって切り抜けるのか、どうしても私はジョン・フラナガンに勝てない。
 今まで息子は「ホールトとウィルは、父と息子の関係みたいだよね。ギランとウィルは、兄弟みたいで」と言っていて、ウムウム、その象徴だよねと私もうなずいていたが、今回ほどその気持ちを強くしたことはなかった。又、ウィルが独り立ちする、初めてホールトの窮地を救うことで「父」という存在を超える、といった場面がカッコ良くて圧巻である。その前後を何度も読んだ。残酷なシーンではあるけど、ウィルの腕前が存分に発揮できるシーンでもあるのだ。
 そして、独り立ちした時に親友であるホラスにこのように打ち明ける「覚悟なんてできていない。でも覚悟ができるのを待っていたら一生経ってしまう」この言葉、エピローグにしても、今回の中で一番響いた。皆大人になるきっかけは様々だけど、それはだいたいそういった立場を与え「られる」と思う。その時に実感や覚悟なんてない。それを実にうまく言葉に表したと思う。ホラスも「それ以上の言葉はない」と認める。
 あまり文学的な要素がないような気がする本だと思うが、中には何度も心を打たれる台詞や考えさせられる言葉がある。母が言っていた「どの国の人も、似たような感情を持つんだなあって思う」という言葉も私は気に入った。筋ばかり追って、冒険ばかりしている気がするのだが、そうやって何かしら感じるところのある本なのだ。