試合は3対2のまま終わった。
 大谷や中田翔のホームランなんかを楽しみにしていたが、活躍したのは、代打矢野と、打順7番のレアードで、その二人がヒーローインタビューに立った。
 ヒーローインタビューと言えば、甲子園では、遠くに小さなお立ち台に立ち、アナウンサーやその日活躍した選手の声がハッキリ聞えたり聞き取れなかったり。聞こえても何となくしか言っていることがわからなかったり。そんな印象だが、ドーム内は違う。トラックが準備され、そこで行われる。
 インタビューの様子はやはり電光掲示板にクッキリと映り、喋っている様子も言葉もよくわかる。
 レアードがインタビューされた時「あのう……そうですねえ〜……」と、誰に教わったかわからないが、つたない日本語でそれっぽく答え始めて可笑しかったが、すぐにボソボソベラベラと英語で話し始め、通訳が訳してくれたのも可笑しかった。彼は寿司が好物らしく、それを試合中の電光掲示板で何度も確認できた。ホームランを打てば、寿司を握るポーズで一周回るらしい。そして、「最後に一言、お願いします」と言われた時、流れで「ファンのみんなありがとう!」とか「日ハム、最高!!」とか「札幌大好き!」とかそういうことを言うのだと思っていたら「スシ、サイコー!!!!!」と雄叫びをあげたので、そうじゃないでしょという気持ちと共に、その天然ぷりに、私はレアードにハートを奪われてしまった。いくら寿司が大好きでも、そこは絶対に「スシサイコー」ではない!
 レアードは、先ほども書いたように、メジャーリーガーだったのに、日本のプロ野球でも打順7番と、イマイチなポジションにいる。アメリカ大リーグでも鳴かず飛ばずな感じだったらしく、又、球場に観客として来ている時に、客と喧嘩して騒ぎを起こしてしまったらしく、どうにも冴えない話ばかり、ウィキペディアには書いてある。
 メジャーリーガーが日本のプロ野球に助っ人として来るなら、多くが3〜5番を打ち、ポジションは一塁手が一番ありがちだと思う。そうでなければピッチャー。だけど、レアードは、7番。しかも3塁手。守備が割と良いらしい。……珍しい選手だなあ。日ハムも変わった獲得をしたものだ。もうすっかりレアードファンになった私は、レアードのストラップを買って、スマートフォンに嬉しそうにつけている。
 久しぶりの野球観戦は、最後に花火が上がり、選手たちがサインボールをスタンドに投げ込み、「ああ本当にすごい。時代なのか、ドームだからなのか」と、そのパフォーマンスにいたく感心し、色々感慨深いものがあった。
 ちなみに座っていた場所は、一塁手の後ろくらいで、ピッチャーの投球の速さやバッターの打球の速さや行方がよくわかった。でも近すぎると、全体の動きがわからないんですね。以前は、割と後ろの方しか席が取れなかったもので、それを少々不満に思っていたものだったが、全体を見渡せる良さが初めてわかった。ピッチャーが投げたと同時にランナーや守備陣がどのように動くか見えるのは、野球をしない私にとって、ああこういう風に動くのかと、とても面白いものなのだ。やっぱりもう少し後ろの方が良いかな。