久しぶりに野球を観に行った。夫の故郷、札幌に行った時のことである。札幌の大きな球場と言えば、札幌ドームですね。北海道にあるプロ野球の球団と言えば、日本ハム。というわけで、北海道は全体的に「日ハムムード」が出来上がっている。もちろん関西でも阪神ファンが主流だけど他の球団のファンがいるように、北海道だからと言って必ず日ハムファンにならなければいけないわけではない。でもやっぱりムードは日ハムなのだ。
 そして私は阪神ファンだったので(今も応援しているけど、熱心に試合を追ったり、選手を覚えたりということはないです。試合を観なくなってしまったもので。そもそもこの辺りでは試合を放送してくれないので。)パリーグのことはより一層わからない。札幌ドームに行くなら、じゃあ日ハム応援に行きます。と、立派な‘にわか’日ハムファンになることにした。
 札幌に着くと、義母が、大谷のうちわを二つ買っていた。ばかりか、応援ユニフォームを二種類買って「着て行ったら?」と勧める。最近の野球事情がわからなくても、日ハムの花形選手と言えば、投球160キロ以上出し、ホームランなどバッティングも派手な成績を出している大谷選手。義母がもし野球に詳しくなかったとしても、大谷の物を買っておけば良いと思って買ったのだろうと納得する。しかし、その後「カッコ良いよね〜」なんてちょっとふわんとした表情でテレビを観ながら言っているのを観て、あれ? ファンなのかな? と何となくニヤニヤしてしまった。
 夫と息子が応援ユニフォームを上着のように羽織り、うちわやタオルなど持たされて、私たちは球場に向かった。
 札幌ドームは、息子が幼い頃に遊びに行ったことがある。まだ日ハムが来ていなかった頃で、サッカーのチーム、コンサドーレが活躍し始めたくらい。球場は他のスポーツやイベントでも使われていたが、割合使われていない時があり、野球のホーム側から見るとセンターの後ろ、一番奥に子供が遊べる小さなアスレチック的な遊具がある。そこに息子を連れて行き、さんざん遊ばせていた。それ以来のこと。
 野球を観に行くことも、多分ニューヨークヤンキースの試合をヤンキーススタジアムで観た以来だから18〜19年ぶりくらい。日本のプロ野球に至っては、20数年ぶりくらいである。
 札幌への旅は色々な不安もあったけど、私はこの野球観戦を何よりもの楽しみにしていた。もうワクワクが止まらない。今どきの言葉で言えば「ワクテカ!」ってやつだ。wktk。
 家族三人、義弟とで人波に乗る。球場内に入ると、広い廊下にたくさん出店があって、あれもこれも欲しくなったが、とにかく先に席に座ろうと進んで行った。通路から球場に入る瞬間にいつも心を動かされる。札幌ドームは、広がって見える甲子園球場と、見下ろすヤンキーススタジアムを合わせたような大きさ。どの球場にも共通して言えることは、パッと広がる視野が解放感と迫力とで、「おお!」と歓声をあげたくなる気持ちになるのだ。