ムクドリムクドリが好きな人には大変申し訳ないのだが、ムクドリが嫌いです。
 クチバシはオレンジでちょっと可愛いかなと思いきや、黒くて目の周りが白と黒と混じった感じの、なんだか薄汚れたように見えちゃう。鳴き声もギョチョギョチョ言っちゃって、羽ばたき方もなんかバサバサと汚い。もうただの悪口になっちゃっているが、一番嫌いな理由は、奴らはだいたいが大群だからなのだ。何羽かの群れとは違う。大群なのだ!
 大群は、大群で移動し、大群でギョチョギョチョと鳴き、大群でフンをまき散らし、そして喉にも苦痛を感じるくらい臭い。奴らを追っ払うために、録音してあるタカの鳴き声を一定時間流すという対策を取ったり色々工夫してみると、「そんなの人間のエゴだ」と言っている人がいることを知った。じゃあキミは共存のためならイノシシやクマと暮らすが良い。家やマンションになど住まず、森や山などけ〜っして切り開いてはいけない。……ってその人が言うような、正しいとか正しくないとか、理想論とかについて論じるつもりはない。私はもっと単純な問題としてとらえている。だって、ムクドリが住んでいる所に人間が侵入してきたわけではないからだ。共存というより、単に住み分けが必要だと思う。
 まあ結局、大群でしか動けないムクドリがいやだというだけです。一匹で動いているムクドリも見かけないわけではなく、たまにムクドリの死がいが転がっていても「ざまあみろ」なんて思いません。アラーン、てかわいそうには思うわけで。
 幼い頃に、初めてスズメの死がいを見た時、しばらくの間、鳥が苦手だった。魂が抜けると、ただの「物」となってクタンと落ちている様子は4〜5歳の私にはちょっぴりショックだった。ムクドリが同じような姿で落ちていた時もやっぱり命がないっていう姿は良い気持ちがするものではない。
 しかし。
 『とりぱん』(とりの なん子 ワイドKCモーニング)を読んでいて「コムクドリ」なる存在がいることを知った。野鳥図鑑でも見た。この姿が割と可愛い。何といっても大群ではない。そしてほっぺたがほんのりピンク。『とりぱん』では、「バカップル」として紹介されていた。私もどこかでチラリと見たことがあるかもしれないが、この前、ハッキリとその姿を目にすることができた。
 夫の職場周辺では、本当にスズメやカラスやカワラヒワセキレイなどそこら辺にたくさんいる鳥だけでなく、ツグミシジュウカラコゲラヤマガラメジロエナガカワセミなどちょっとだけ珍しい鳥も見ることができる。この冬はウソまで見た。そんな場所だからウオーキングをする時にキョロキョロしたり、突っ立って木を見上げたりなど、挙動不審なおばさんでいることも恥ずかしくなくなった。そして夫と散歩していたら「スズメだね〜」というのにまぎれて「いや、違う。あの鳥の模様はスズメではない」という模様を見つけ、目で追うと、ほっぺたが丸くピンク染まっている。「コムクドリだ!!」二人で見た。やっぱりちょっと可愛かった。そして、二羽でいたのでやっぱりバカップルだったのだろうか。仲が良さそうだった。でも結局のところ、ムクドリの仲間。鳴き声はうるさいらしい。