『アラルエン戦記』(ジョン・フラナガン著 入江真佐子訳)は、久しぶりに私が読んだフィクションである。字が少し大きく行間もあって読みやすいとは言え、400〜500ページは疲れる。話の展開もなかなかスリリングで、やっぱり疲れる。息子に半ば強制的に読まされた私だが、疲れたものの、とても楽しんだ。
 1巻で一段落しているので「もうこれでいいや」と思ったし、息子にもそう言った。「そうだね、1巻で一応完結しているよね。」と言った息子だが、しばらくすると、2巻がまた食卓テーブルに置いてある。「アハハ!」と笑うと「読まなくてもいいよ」とかまたもったいぶっている。「時間ないからねえ」とか、ちょっと前に一度交わしたじゃないかっていう会話をまた二人で繰り返した。そして、また病院の待合時間に読み始めた。
 すると、2巻からは、1冊で完結しておらず、4巻まで読まないと一段落しないことを知った。止まらない。
 3巻を、いまさらこの歳で、ものすごい夜更かししながら読んでしまった。とりあえず3巻を終えて寝た私は、翌朝起きてすぐ4巻に取り掛かった。そして日中に4巻を読み終えた。気が付いてみるともう夢中なのである。こんなに本に夢中になったのは久しぶり。
 内容について詳しくは書かないが、意味がわかる程度には説明したい。まずは、このフィクションというかファンタジーの冒険モノであることくらいは書いておきたい。内容についてはもう少し詳しく後で書くことにする。読みながら、『ハリーポッター』や『指輪物語』を少し思い出していた。
 以前、『指輪物語』を読んだ時に、夫に「ねえねえ、これって本当にあったことなのかなあ」と、どう思い返しても正気じゃない質問をしたことがある。子供ならまだしも、当時30にもなっていた。その質問をした頃、何巻かを読み終えており、その世界にハマりこんでいた。あまりの詳細の地理的な説明に、もしかしたらこれって本当にあったことなのかもという風に物語の中に入り込み、なんだか現実とお話の世界を行き来していたのかもしれない。割とそういうところでは感化されやすい方なのだ。そして、質問された夫はと言えば「えっ?」ってしばらく絶句である。当たり前だ。良い大人が、おとぎ話を読んで「本当にあったこと?」って、幼稚園生か小学生みたいなことを聞く。でも夫は「うーん。それに似たようなことはあったのかもしれないね。それに似た民族とか、言い伝えはあったのかもよ。」てな内容のことを答えた。何て模範的な答え!……というか、子供の素朴な疑問に対する理想的な大人の答えだ。本当にこっぱずかしい。色々過去のことを思い返して「わーーー!!!」と頭を抱えたくなるような恥ずかしいことはたくさんあるが、これもその一つである。わーーー!!!
 でも、そのくらい『指輪物語』は、登場人物が個性豊かで、ストーリーがドラマチックに書かれてあったのだ。登場人物も生き生きとし、地理も詳しい。
 『アラルエン戦記』に至っては、これはヨーロッパの地理が原案だろうよ、とツッコミたくなるような地図が載っている。息子が「これって本当にあったことなのかなあ?」と聞きたくなるのも無理はない。なんたってまだ小学生だし!ああ。恥ずかしい私。