息子が中学生になって、毎日楽しい思いをして学校に通っているか心配である。
 そういう気持ちもありつつ、色々と県の行事があることに驚いてしまう。
 私は関西の私立中学校だったし、色々と事情が違うのだろうかと思い返す。よくわからない。ある日は、「中体連」があって、運動部の子が学校にはいないと言う。ある日は、合唱部、器楽部、吹奏楽部の子たちが学校に来ないと言う。基本的に給食の学校なのだが、そういう日はお弁当になる。
 息子のクラスは、音楽の部活に入っている子たちが多いらしく、そういう日は、人数が半分くらいになってしまうと言うのだ。 「じゃあ、お弁当で班になった時、人数が少なくて寂しいんじゃないの?」と聞くと「今日は、一つの輪になって食べたんだよ。」と、何とも微笑ましいことを言う。「先生はそういう時どうするの?」と聞いてみたら、「いつもの先生の机で食べるから、先生を囲んで輪になったんだよ。」と言うので、ますます微笑ましいなと思った。
 そこで思い出したことがある。
 私たちが高校生の頃。
 学校には、スチームストーブがあって、冬でも他の学校に比べたら温かい方だったのかもしれない。でも女子校である。「女子ばかり」というだけで既に生徒の多くが冷え性なのだ。教室のドアを開けると閉めなければいけなかった。うっかり開けっ放しの人がいると、廊下側に座っている子がやれやれといった感じで閉め、時には「もー閉めてよ!!」と怒ったりしていた。ドアに「開けたら閉めて!」などと誰か彼かが好き勝手に貼り紙をしていた。スチームストーブはドアとは反対側にあったので、そちら側に座っている人はとりわけ無頓着だと、当時廊下側に座っている人たちの強い主張があり、毎週、一列ずつズレて交代していくというシステムを作ったクラスもあった。
 そんなある日、次は世界史という時間。寒い寒いと言い合っていた皆は、集まろうよと誰ともなく言い始めた。机に座ったまま、皆が黒板に向かって左側の前の方に机と椅子を寄せ始めた。できるだけギュムギュムになって先生を待っていると、先生がドアを開けて「わっ!」と、びっくりしていた。少し若い先生で、皆もからかってやろうといういたずら心はあったものの、中学二年生の頃のようなひどいイタズラをする年齢でもなく(当時は本当にひどかったのだ)、先生のびっくりした顔が可笑しくて、皆で笑った。
 「なんや、どうしたんや。」と先生が言うのだが「良いやん」とか言って誰も説明しようとしなかった。「寒いねんもん」くらいは言ったかもしれないが、それほど説明を求められず、こちらも詳しく説明をせず。最初こそクスクス笑っていたものの、その後、淡々と授業は進んで行って、皆もその態勢のまま当たり前に授業を受けた。確かその次の時間は、先生が「ダメです。戻りなさい。」と言って、皆でブツブツ文句を言いながら戻したような。
 思い出すとちょっと微笑んでしまう思い出である。その時のクラスは、本当にまとまりがよくて、仲が良くて、楽しかった。息子もそんな思いで楽しく学校に通っていると良いんだけど、共学だとなかなかそうもいかないみたいね。