息子の読書について書いているが、息子は親の趣味嗜好により、漫画も好きである。熱心で真面目な読書家とはちょっと違うのかもしれない。夫も私も、本が好きで漫画も好き。少しずつ好みは違うが、共通する好み、共有する本や漫画もある。数だけで言えば、夫の方が本や漫画を読む量は多い。雑誌も多い。本は対談モノが好きなようだ。
 息子が手に取ったウチの漫画は、なかなか哲学的な『ぼのぼの』から始まり、『クロマティ高校』などのあらゆるギャグ漫画も読んでいる。『クロマティ高校』は、息子のお笑い好きや好みから、きっと気に入るはずと私が思い、息子に勧めてしまった。決してほめられた母親ではないだろうが、息子と共通の話題ができている。頭は悪いけれど、憎めないキャラクターもたくさんいて、人間の魅力について語ることもあるくらいだ。息子が、自分と違ったタイプでも偏見を超えた魅力的な人間がいるということを知ってもらうのにも丁度良い。まあお笑い芸人でもそれくらいは学んでくれているようだが。なによりただただ笑えるってだけなんだけど。
 他に、『宇宙兄弟』『ちはやふる』『よつばと』『テルマエ・ロマエ』は、家族皆で読んでいるし、夫と息子とで読んでいる漫画もたくさんある。まあ漫画のことは、また改めて書いていくとする。
 本の方に話を戻すが、息子はそのうち、冒険ものにハマり、『ガンバとカワウソ』シリーズを夫から与えられてハマり、そのうち『バーティミアス』も一時読んでいたが、とうとう私も夢中になる本を読むようになった。
 『アラルエン戦記』(ジョン・フラナガン著 入江真佐子訳 岩崎書店)である。
 学校で読み、当時5巻まで日本語に訳されて出版されていると知った息子は、買って家で何度も読み返したいと言い出した。ちょうど、色々と理由があって、図書カードがたくさんたまっていたので、それでだいぶカバーすることができた。あとはお小遣いで買った。400〜500ページほどある分厚い本を5冊、カウンターに置いて、図書カード数枚とお小遣いを出す息子を見て、店員のクールな雰囲気のお姉さんがほほ笑んだ。私の思い込みだろうが、「あなたも本が好きなのね」と、吹き出しをつけたくなる表情だった。
 しばらくその本に夢中で、1巻のあらすじも話してくれた。あまりに熱心に話し始めて止まらないので根気よく聞いた。面白そうだと思ったが、そういったストーリー性のある本は、しばらく読んでいなかったし、読み始めると大変そう、疲れそうだと思ったので、「へえそうか、面白そうだね」で済ませていた。私は心にバリアを張った。読まないでおこう。
 でもある日、その1巻が、食卓テーブルの私の席の前に置いてある。「なにこれ?どうしたの?」と聞くと「お勧めだから。でも読まなくてもいいよ。」とか言ってくる。やっぱり読んでほしいんだ。そりゃ面白いと思った物は共有して話したいよね。でも大変そうだなあ。「そんなに時間ないんだよなあ。」とか言いつつ、病院の待合時間などに少しずつ読み始めると、面白くて、1巻を結構な速さで読み終えた。
 「疲れた」「でもすごく面白かった!」
 というのが最初の感想である。