結婚してからまだ子供ができていない頃、どういう成り行きだったか、夫にカモの絵を描いてあげたことがある。写真も見ないで、そこそこのクオリティで描けた私に、夫は「カモが好きなの?」と、勝手に親近感を持っていた。絵はそんなに上手ではないし、出来上がった絵も素人くさくて仕方ないのだが、私も何故ある程度「カモの絵」が描けるのかよくわからない。ただ、以前からカモの色がキレイだなとか、首周りが白いんだなとか思っていた。絵を描くことがとても嫌いってことなく、一般的な女子並に絵は描いたりしていたし、女の子は顔の絵や動物の絵を描くことが好きという知識通り、私も例にもれず人の顔や動物の絵はちょこちょこ描いていた。
 にしても、何故カモがそこそこに描けるのか、謎である。
 夫は私をカモ好きに仕立てあげ、鳥好き仲間に引き込もうとしていた。でも、私はその頃特別に鳥が好きなわけではなかったし、流していた。
 ところが今は野鳥好きである。ただ水鳥はそれほどですよ。スズメ大の野鳥が可愛いなあ、色々なバリエーションがあるものだなあと、コレクターがちょっとした違いを喜ぶかのごとく、観て楽しんでいるだけである。鳴き声は、野鳥を探す時の手段として、少し知っているだけである。本当に「少し」である。
 この前なんか、ツイーツピーではない鳴き声のシジュウカラの鳴き声を生で聴いて、びっくりした。「何この鳴き声。あまり聴いたことないなあ」と声をたどると、木にシジュウカラがとまっていた。ええっっ?!
 チュッチュ ビリビリビリリリリ……
 てな感じであった。7月にシジュウカラ。しかも一羽だけ。しかもしかもじっとしている。珍しい光景である。
 帰宅後に、お馴染みの「鳥の鳴き声検索サイト」に行くと、それに近い鳴き声はあっさり発見。何種類もあった。へえ、そうなんですか。
 そして、最近改めてスズメを観察している。
 最初の話に戻るが、私はカモは描けるのに、スズメが描けない。別に描かなくても構わないのだが、描きたいというか、夫に言われて描こうと思ったら描けなかったのだ。じゃあ描かなくて構わないのに、でも「ほら、でもカモは描けるよ」とムキになって言いつつ「何故スズメは描けないのだ」と思った。
 それは、観察していないからだ。茶色っぽくて地味だよね〜。なんて本当は思っているからだ。ちゃんと見ていない。別にちゃんと見ていなくて良いんだけど。
 でも、スズメを描いてみてと言われ(そもそも、何故たま〜に鳥を描いてみてと要求されるのかそれも謎なんだけど)、描いてみようとしたら、ラバーダックという、お風呂に浮かべて楽しむアヒルちゃんのオモチャが、すごく縦長になった物が出来上がってしまった。「なんじゃこれ」……全然スズメじゃない。「スズメってどんなだっけ?」とか言いつつ、私は全然可愛くない縦長のラバーダック雀を見つめた。頭がでかいのだ。こうじゃない。
 それから私はスズメ観察を始めている。いつか、かわいいスズメを描いてやるぞ!!