知り合いの母親友達で、息子が受験した学校に、子供を通わせている人が数人いる。
 その母親たちに息子の話を聞いてもらったり、そこの学校の話を聞いたりしていたので、合格してから、彼女たちにメールで連絡を入れた。すぐに「おめでとう」の返信が来た。
 私は、息子の受験にさほど思い入れを強くしないようにしていた。他に良い高校もあるし、息子が合格できなくてもそれなら私立に入ると言っていたので、そういう道もあると思っていた。ただ、あまりにのんびりしているので、最後の二週間くらいはイライラした。自分で行きたいと言い出したのに何でそんなに呑気なの。と一度言ってしまった。それ以外は、ひたすら塾の送り迎えが面倒で大変、てことくらいで、自分のことのように緊張もしなければ、どうしても受からなければとかいう思いもなかった。もっとも自分のことでも緊張しなかったんだけど。
 一時期、息子の思いがあまりに強いと感じた秋頃に、「もし合格しなかったら、この子の精神状態はどうなってしまうんだろう」という心配が出てきて、塾の先生に「心配です」と話したことはあった。でも試験を受けた時も、やっぱり私にはどうしようもないと思っていた。「手応えあった。悔いはないよ」という気持ちを聞いて、ハッタリかもと思った。「簡単だった」と聞いても、じゃあ相対的にはわからない、と安心できない。でも発表まで気にしても仕方ないので安定した気持ちだった。毎日よく眠れたし、夫がインフルエンザにかかってしまい、その対応に追われた。もちろん気になることも確か。モヤモヤとした日々が続く。どっちなんだろうなあとやはり気にかかった。
 「合格」の二文字が見えた時に大喜びした後、心配してくれたり、もうすぐだよね頑張ってねと声をかけてくれたりした人たちに一通り伝えた。相手から聞いてくるのを待っても良いのだろうが、もったいぶって言わずにいるということができなくて、嬉しそうに伝えた。平静を装っていたけど、親ってこんなに嬉しいものなんだ。特に身内が喜んでくれていることで、私が合格した時の皆の喜びも、今更実感することができた。こんなに喜んでくれていたのか。
 夫は仕事だったので、メールを入れた。冷静なんだろうなと思ったが、昼間の休憩時間に電話を入れてくれた。「ミツに代わって」と言って、おめでとうの言葉をかけていたようだった。電話で話している息子はとても嬉しそうだった。
 父も外出していたが、帰宅後わざわざ電話をくれて、息子におめでとうと伝えてくれた。皆に感謝の気持ちでいっぱいになる。私は何もしていないけど(笑)。子供がおめでとうと祝福されることって、親はこんなにも嬉しいんだな。
 ここまで書いてから、その後何か月も経ち、息子は元気に通っている。小学校時代は、あまり良い思い出がなかったため、親としては深刻な人間関係に巻き込まれて辛い思いをしないか、大丈夫なのかとつい心配ばかりしてしまう。宿題が多い学校なので、あまり最初から飛ばしすぎず、思春期を過ごす学校生活を楽しんでほしい。その後には高校生活、おそらく大学生活、社会人と続く。その後の人生をどう過ごすかが一番大事ですよね。今は何よりも、仲間たちとそこそこで良いから学校生活を楽しんでほしい。