今年の夏もホオジロを見た。
 少しくらい鳴き方が違っても、ホオジロとわかるようになった。鳴き声をたどると、木のてっぺんに、黒っぽい頭と赤茶色っぽい胴体が見える。鳴き方も姿もホオジロの特徴である。あー可愛いなあ……。
 今年、ホオジロの存在に気付いた前後に、近くの山の方をドライブしたことがあった。車をとめて散策すると、色々な鳥の鳴き声がする。わくわくするのだが、林になっていて木が多いので、鳥がどこにいるのか探すのはとても困難なことなのだ。うぐいすなんか全然見つからない。「この木のどこかで鳴いているはずなのに!」と、双眼鏡で探しても、いまいちコツがつかめていないのか、どこか見当はずれなところを探しているのだろう。一向に見つからない。
 そんな中、すぐ近くをパタパタと飛ぶ鳥がいた。羽がやたらに赤茶色い。なんだあれ?とその姿を追うと、また近くの枝にとまった。スズメにとても似ているのだが、羽が赤茶色っぽく、ホオジロとかカシラダカみたいに顔が黒いわけでもない。よく見るとスズメにあるほおの黒い斑点もない。何このスッキリした顔。野鳥の本で見たことがある気がするなあ。でも、鳴き声もスズメにそっくりである。
 帰ってから調べたら、ニュウナイスズメという鳥にそっくりであった。「ああこれか」。今回は、かなり近くで見ることができたし、顔もしっかり覚えていたので、確信が持てた。姿かたちはスズメに似ていて、羽がちょっと赤茶色。ほおには黒の斑点がない。まさにこれじゃないか。
 スッキリした気持ちだった。
 でも、数年前くらいまで、私はスズメ大の鳥は、全部スズメだと思っていた。
 それが実は、カワラヒワだったりヤマガラだったり、シジュウカラだったりして、環境によっては、メジロコゲラエナガまでわかるようになった。ゴジュウカラキクイタダキも目にすることができた。それでもスゴイなあ、こんなに色々な種類があるんだとコレクター的な気持ちがわいて楽しくなったものだが、もっとスズメに近いホオジロニュウナイスズメまで区別できるようになったなんて、我ながらちょっとした進歩である。
 「こんなスズメっぽい鳥まで、スズメじゃなくて細かく分類されているってわかってそれを区別できるようになったら、なんかちょっとツウっぽくない?」
 とか嬉しそうに夫に話す私は、すっかり野鳥好きと言って良いのかもしれない。まああのくらいのサイズに限ってですが。