我が家のまあまあ近所に、ちょっとした野鳥スポットがある。
 歩いて5〜6分位の所なのだが、田んぼや林、小さな墓場ともつながっており、冬以外は茂みがうっそうと茂っていて、通りも、歩く人がすれ違える程度の幅しかないので、ヘビや熊でも出てくるのでは、と思い、怖くて滅多なことでは歩かない。
 でも、そこの斜面では色々な野鳥が見られるのです。ちなみに、その斜面の近くにある木にも、ほんの少し珍しい鳥も見られる。まあ私の思う「珍しい」は、せいぜい「スズメやハト、カラスじゃない」って程度なんだけど。
 冬には、草木が雪で覆われ、閑散としていてむしろ歩きやすいので、度々そこを歩くのだが、様々な鳴き声がして、シジュウカラかな、ヤマガラかな、エナガかなとか思って、キョロキョロしながら歩くと楽しい。ここで私は初めて「ツグミ」を見た。写真だと地味だが、実際に見るツグミは色鮮やかで、わあキレイだなと足を止めて眺めた。
 雪がとけてしまうと、そこから、キジの鳴き声がするね、とは、家族で話していた。
 キジと言えば、実家の方でも、度々目にした。市内でも「植木の町」と言われ、植木林が多かったせいなのか、キジがウロウロしていた。ある日は「今日は一段とうるさいなあ」と外を何気なく見ると、庭にキジがいて、びっくりしたことがある。
 なので、キジ、特にオスの色鮮やかなキジは見慣れて(?)いたが、やっぱりある程度のサイズの、野生の生き物を見ると、ちょっとびっくりしてしまう。道路を走っていて、例の斜面の上の道路を挟んだ、さらに上の斜面に色鮮やかなキジを見た時に「うおっ!」と驚き、車のスピードを緩めて眺めた。
 そんなある日、草木が茂りそう、もうすぐ通るのがいやになるだろう、まだギリギリ大丈夫かなって時期に、そのシーズン最後だろうと思ってその道を通ったら。
 「えっ?!」
 思わず足を止めた。
 目の前を、たたたっ……と、見慣れない大きさの鳥が横切ったのだ。カラスとかじゃなく、丸くふっくらしていて、茶色く、走り慣れている感じだった。なんだありゃ?!結構大きな鳥だ。
 家に帰って色々調べてみた。キジのメスにしては、尻尾の感じが違う。ウズラにしてはもう少し大きさと頭の感じが違う。結論は、キジの幼鳥だった。
 それにしても、人が歩いているのに、堂々と横切るなんて。まだ幼鳥だから、うっかりしていたのかな。私の足音に、びっくりした感じで、でも茂みから出ちゃったものだから、早く渡りきらなきゃといった感じで、そそくさと反対側の茂みに隠れていった。びっくりしたけど、可愛かった。