時々ダンナにも話すことなのだが、この前また思い出したことがあります。合コンではないけど、大勢で出かけたことがあってね。大学の四年生の頃だったかな。
 実は私、大学2年の頃、「当時の」和久井映見にちょっと似ていたらしいです。結構色々な人に言われたし、言われて気にすると、テレビを見ながらふと、鏡で見た瞬間と出会うようになって、こんな可愛い人と似てる??……わー嬉しいなーと浮かれていました。
 でも、あくまでも「当時の」和久井映見で、私も私で「当時の」私でした。
 なので、1年も経ってふと気づくと、全然変わっていました。お互い。別に和久井映見さんと知り合いでもないけど。彼女も成長して顔が多少変化していき、私も多少変化していき、お互いが少しずつ違う方に変化すると、全然違うってくらい変わってしまった。
 なのに、私の友達は、似ていた頃から2年程経った頃、そう、似なくなってから1年も経っているのに、男友達に「私の友達で、和久井映見に似ている子がいるよ」と言ってしまった。そりゃ、当時人気の可愛い女優さんに似ていると言われたら「へー!見たい見たい!!」ってなるでしょうよ。
 案の定、「へー!見たい見たい!!」ってなってしまいまして。で、その男の子が「俺の友達が、和久井映見に似ている子を紹介してくれるって。」なんて言えば、「へー!見たい見たい!!」が連鎖してしまうでしょうよ。
 なので、友達に「そういうわけだから、今度一緒に出掛けよう。」と言われた時には「なんてことを言ったの!」と青ざめた。もうすっかり似ていないのに。さらに当時は太っていたし。まあそれでも、二対二くらいの、のんびりデートになるのだろうと思っていた。
 当日、友達の男友達に会うと、やっぱり「あれっ?この子?」って顔したので「わーごめんね〜」と平身低頭して謝った。「いやいや、ちょっとわかるよ。」と、慰めにもならない言葉をかけた彼は「いやあ、それが6人も来ちゃった。」と言う。
 「えーーーー?!6人?!……どうしよう!!みんなガッカリだよ〜〜!!」
 そんなにも期待に満ち満ちて集まったのかあ!頭を抱える私を、二人はなだめながら、皆の元に連れて行った。当然、皆、ノーリアクションだった。「おおう!」と言ったきり。あああ、ごめんなさい。心の中で深々と謝った。女子大生として、あんなに清らかで厳かな気持ちで謝ったのはあの時くらいだ。
 そして、大阪から比叡山まで2台の車に分かれて乗った。その時間の長く感じたこと。女性陣は私とその友達の二人だけで、女性陣が一緒に乗ってはつまらないと言われたので、私は「期待を裏切られた」という顔の男性陣の中に埋もれ、本当にごめんなさいという気持ちのまま車に揺られた。申し訳ないやら、元々の人見知りもプラスされ、私はほとんど無言でした。ああしかも、たった今思い出したけど、その日、丁度、口紅を変えたところで、それが合わなくて、唇がボロボロにむけていました。恐縮でいっぱいの気持ちの車の中。ボロボロとこぼれる唇の皮。ああなんてかわいそうな思い出。
 今は、さらに面影なく、まったく似ていません。和久井映見は、年齢にも関わらず可愛いし、私はすっかりおばさんです。