とりあえず、実家に着いたら、まだ残っている数人の友人にメールを送りました。それから札幌から心配している友人、関西で心配してくれている友人たち、全国バラバラに避難してしまった仲の良い友達たちに連絡をしました。
 まだ、住んでいる地域に残っている友人の後押しがあって来れたこと、関西の友人が私の気持ちを言葉で表してくれたことで自分の気持ちを支えられず、感情に素直に従おうと思えたこと、夫が、ひとまずは私の不安を取り除き、息子の気持ちを思って、数日だけ休みを取ってくれたこと、忘れずに心にとめておかなければと思いました。
 地震が起きてからずっと便秘でした。実家まで避難してくる直前は、物を食べることが苦しくなってきていました。初めて「食事が喉を通らない」という体験をしました。ストレスで食欲が減ることはあっても、この時は違いました。食欲はありました。お腹は空いていました。でも、喉が狭くなった感じがして、食べ物をのみこめないのです。目をつぶってグッと力を入れないと、食べ物が喉を通ってくれない。それでもお腹は空くので、頑張ってのみこむ、そんな感じでした。実家へ行くと、まずすぐに喉がぱかっと開きました(笑)。便秘も治りました(笑)。
 関西の友人の中でも、特に、阪神大震災で被災した友達の言葉がとても重く感じました。
 「親孝行したと思いなよ」「気力体力精神力すべて一度整えなおして、何ができるのか考える時間が必要」そういった言葉に、とても心がこもっていて、気持ちがあたたかくなるのを感じました。
 夫と、色々喋りました。夫の信頼する専門家の意見、夫の考え方を改めてよく知りました。わからないこと、引っかかることは質問攻めにして、色々な考え、二人の考えを頭の中で整理していきました。夫がどういう考えか、本当によくわかりました。お互い「気持ちが通じていない」と感じながらの、居住地の出発でしたが、実家にいることで、お互いの気持ちを話し合い、気持ちが通じ合うことができました。やっとお互いがわかり、夫も「とりあえず来てみて、わかったこともたくさんあるし、一度こちらに来れたことは良かったよ。」と話してくれました。私も納得したことで、夫の数日後の仕事復帰に納得し、さらに一週間位で自分たちも帰ることを決意することができました。
 夫が帰る前日、息子が「僕も一緒に帰りたい」と、涙を浮かべて夫にしがみついていたので、切なくなりました。でも、私の気持ちがまだ落ち着いていなかったというのもあるけど、まだ物資があまり流通しておらず、ガソリンも来ていないようだったので、一緒に帰っても、ピリピリした生活を送らなければいけなくて、少しでも多くの人に行き渡るように、帰るのはもう少し色々流通してからの方が良いと説明をし、どうにかわかってもらいました。私の不安な気持ちに、夫と息子を巻き込んだことを、ずっと忘れてはいけないなと、改めて胸に刻みました。
 親友が二人いて、それぞれと会って、さらに傷が癒されたような、ただ会っただけですごく元気づけられました。両親も、息子とよく遊んでくれて、私の心も体も元気になるのを見守っていてくれました。