中学からの、仲良し5人組について、最後の回にします。
 色々と葛藤があったのだが、大学を卒業して、約10年経った頃、とうとう感情が爆発してしまった。
 大きなきっかけは、子供ができたからだと思われる。常々、お互いの考え方の相違は気になっていたが、今まで楽しく仲良くしてきたからと、それを壊したくないと思う時期も長かった。どういう考えを大切に思うか、何を優先するかということの違い。友達に対する意識の持ち方。お互いの気持ちを考える度合い。最近よく使われる表現として「温度差」。私の熱いところと、相手の冷めたところ、相手の熱いところと私の冷めたところの違い。親子関係や家族に対する考え方。私にはやはり、帰国子女としての考え方がとても強く根付いており、他の4人に対してそれを主張しきれないもどかしさがあった。少しずつ、違う、違うと思っていたことが、自分に子供ができた時の、お互いの子供に対する考えがハッキリしてきたことで、もう我慢ができなくなってしまったのだ。
 そして、子供までをも、自分の人間関係やそれについてくる自分自身の感情に巻き込みたくないなあと思ったのだ。
 一番許せなかったのは、それまでできるだけ言わなかったYについての不満を、Tにぶつけてしまったことだ。それは、私にとってご法度なことだったのだ。Yに対して許せない、というより、Yのことをどうこう言ってしまった自分に許せなかった。これで、仲良しグループ全員と、そこにいない誰かの不満を言い合うということになってしまったのだ。私はそういう関係がいやだった。Yを裏切りたくない気持ちが強かったけど、その「裏切りたくない」気持ちだけで築いている友人関係って、本物じゃないよなとも思った。本物とかにせものとか別に友人関係で葛藤せずとも、自分でもう少しラクに気持ちを処理できれば良いのだが、思春期の頃から、それまでの積み重ねがあったので。楽しい思い出。たくさんのお互いの相談事。葛藤などね。
 だけど、自分の本当に好きな友達って、関係がもっと対等だ。好きな友達の不満をあちこちで他人にぶちまける、ということはないはずだ。しかも、よりによって内輪でなんて。その5人組に関しては、残りの4人が、それぞれ、お互いの不満を持っているのを聞いてきた。その辺が、生真面目な私には割り切れなかったのだ。
 この、もつれた糸のような関係に、終止符を打つ時がやってきたと思った。
 それから、またもう少しやりようがあるだろうに、私は、パッタリ自分から連絡しなくなった。電話があればそれなりに応対したが、失礼ながらメールも返事をしなくなった。
 もう皆にとって、私はそこに必要ないのではと思ったのもある。深刻じゃなくても、癒着した病的な関係だった。
 ただ、色々楽しい思い出はたくさんある。
 色々皆にとっていやなことも書いたが、やはり楽しい学生生活を送れたのは、この5人組のお陰である。彼女たちなくしては、私の学生生活を語れない。本当に楽しい仲間だった。