I とは、彼女に誘われて、あるボランティア団体のキャンプリーダーをしたことがある。彼女は、大学一年の時から始め、続けていたが、私は彼女に強く誘われて、二年の時に入った。団体行動があまり得意ではなく、好きでもない私だったので、すごく警戒したが、やはり私は一年程しか続かなかった。その団体の、裏表のある雰囲気や、男女関係のゴチャゴチャ、あっちで誰かの噂話、こっちで誰かの噂話、というのもすごく嫌だったし、「すごく頑張ってる自分」をアピールしないと、存在感がたちまちなくなるようなところだった。「デキル人」が求められていたんですね。私、そういうのがすごく苦手でねぇ。デキル自分を演じるのが嫌い。自分のペースが、かなり守れないといやなんですね、息子のこと言えないかあ(笑)。先輩たちに、仕事のデキル自分をアピールして、少しでも認められると、その人の地位が上がるって感じの風潮です。そこまで自分を見失うほどに、入れこめなかった。
 でも、男の子たちも苦労はあっただろうけど、大半の子が素直で、優しい子たちでした。大学の1年生〜4年生まで、交流がそれなりに皆とあったけど、道徳心を疑うような人はいなかった。ので、多くのタイプの男性を見ることができて、良い勉強にはなりましたー(笑)。
 その中で、唯一の楽しみがあるとしたら、I と、同じ日程になれば、一緒に旅行してるような気分になれたこと。寝食共にし、色々な話をした。I は、人の噂話を嫌ったので、私も抑え気味ではあったが、それでも喋ることは色々あって楽しんだ。小中学生とかの団体を引き連れない何泊かというのがあるんですね。リーダーのための研修とか、キャンプ地の設営や撤収の作業の時なんかですね。二人で、皆が寝静まった夜(無人島なので、また、就寝が早いんです)、夜でも唯一明るいトイレ前でこっそり待ち合わせて、2時間位ペチャクチャ喋ってました。時々、途中で、男の子も女の子も、当然、誰か彼かがトイレにやってきます。すると「わっびっくりした。喋ってるの?」と笑われたり、「おう!楽しそうやな。」と言われたりして、誰もとがめなかった。これもまたIとの、すごく楽しい思い出なのだ。
 彼女とは、今は連絡を取っていない。
 これには、色々私の感情の醜い部分が出過ぎてしまうので、詳しくは書きたくないのだが、簡単に言えば、色々と、考え方や性格のズレというものがあったにも関わらず、私はどうしてもそれを認めたくなかった、というところに原因がある。あまりに多くの楽しい思い出が積み重なっていたので、それを絶つことはできなかったのだ。別に絶たなくても良いのかもしれない。今後何か機会があったら、楽しく喋れて、これまでの自分のひっかかりをアホらしく思うことだろう。でも、メールや手紙を交わした後に、どうも苦い感情が残るようになってしまった。そのうち、自分が、合わないところがある、というところを、直接、強調して伝えてしまい、彼女を傷つけてしまった。上手に距離をはかりながら接していけば良かったのに、わざわざそう伝えてしまったことから、私の罪悪感もついて回った。私のわがままなところでもあり、とても申し訳ないことをしたと思う。でも、私たちの関係はフェアではなかったのだ。もちろん、私が自分を責めることで美談にしたくはないので「お互いに」傷つけ合ってしまった、と書くべきなのかな。それでも、彼女の多くの思い出と笑いのセンスに、今でも楽しい出会いであったと心から感謝している。きっとバッタリ会ったら、楽しく喋れるんじゃないかなと思うけど、彼女の方はどうかなあ。