さて、その女子校の友達たちの中で、親友が二人できた。二人ともバレーボール部だったが、一人は途中でソフトボール部に変わり、その二人がお互いに親しかったわけではない。ただ、二人とも、毛色の違った友達たちから、それぞれ人気があった。中学高校時代も、好きな友達だとは思っていたけど、卒業後はもっと、どんどん親しくなり、今でも大切な友達として続いている。この二人のことは、現在進行中なので、とりあえず、今は、自分の中では過ぎ去った「思い出の」友達たちのことを書こうと思う。
 その二人とは違った交友関係で、仲良しグループというのか、5人組がいた。
 その中の一人、Yとは、中学入試の時からよく目が合って気になっていた。合格発表の時も偶然、駅にある公衆電話(当時は携帯電話なんか持ってませんから)で隣りになり、声をかけあった。Yのことは、後ほど書くことにする。
 中学三年の席替えで、あまり喋ったことのない人と隣りになった。Nちゃんである。
 中学一年から二年になった時に、仲の良い子たちとは離れ離れになってしまったことはここにも書いた通りだが、二年で仲良くなった子とも、結局三年になる時に離れてしまった。中学三年の最初の頃は、あまり親しい友達もおらず、つまらなく、寂しい思いもしていたが、Nちゃんが隣りの席になってから、どんどん毎日が面白くなっていった。
 Nちゃんは、私のことを非常に気に入ってくれて、教科書を忘れた私に嬉々として席を寄せ教科書を見せてくれて、教科書の中の挿絵について、色々話して笑った。彼女は、独特の世界を持っており、男の人の好みも独特だったし、様々なことにNちゃんワールド全開にして、凝り性なところを発揮して語ってくれた。彼女は、仲間から「逃げ足が速いよ、ズルイ!」とか言われてからかわれていたのだが、私はあまりそういう部分を見たことがなく、実感がなかったので、心から楽しんでNちゃんと喋った。しかし、Nちゃんは私にどこか遠慮していたようでもあり、私をかいかぶっていたような感じもあったので、「私って、そんなに良い人じゃないぞ」と思い、それ以上立ち入らなかった。
 ただ、Nちゃんの独特の世界はとても面白かった。男の子並みの凝り性で、あらゆる音楽を紹介してくれたし、自分がDJのラジオ番組も作って聞かせてくれた。手紙のやりとりだけでは飽き足らず、声のテープの交換というものもしていた。当時は、携帯電話ももちろん、ポケベルさえなかったので、自分の思ったことや感じたこと、気持ちをベラベラと、録音して渡し、それに対してさらにテープで返事をする。彼女とどんな話をしていたのかはすっかり忘れてしまったが、楽しい思い出。実は、彼女の、そんな凝り性からきた音楽の好みが、今頃になって色々影響を受けていることに気づく。「この曲、どこで聴いたんだろう?」と、必死になって記憶の糸を手繰り寄せてみると、彼女に「聴いて聴いて」と頼まれて聴いた曲だったりするのだ。それは懐かしさなどを呼び覚まされて、何とも胸が温かくなる。
 彼女は、大学を卒業してからも、司書の資格を取りたいと、大学に通い続け、色々美術館などで働いてはコメントしている。彼女の名前で検索すれば、そこそこの数で、彼女のコメントが出てきたりするので、感心している。結局、5人の中で、今もっとも会いたい友達の一人となった。