次に、日本に帰国して、気に入った友達は、Cさんだった。
 帰国子女として日本の学級に転入してきた私は、完全な変わり者扱いだった。
 でも、そのクラスでは、先生が帰国子女として気をつかってくれたことと、さらには2年生に上がった時の先生が変わり、その先生と私の相性がとても良かったらしい。すごく包容力のある先生で、子供が大好きというのが伝わってきていた。窮屈なことを言わなかったし、日本の色々なことがまだよくわかっていない私のことも理解を示してくれて、とても可愛がってくれた。授業のことや教育の方針はどうだったかなどよく覚えていないが、その先生の下で私は伸び伸びと自分を発揮できた。
 そんな中、親しくなったのがCさん。帰国した当初から、変わり者で浮きがちだった私にもニコニコと、すごく控えめだが、周りの目を気にせずに私に近づいてくれた。彼女はとても大人しいタイプで、大人になってから会った時も、やっぱりすごく大人しかった。私もベラベラと自分から話題を振ってそれを広げるのはそんなに上手ではないので、二人になるとシーンとした空気を何とかしようと、一生懸命喋り、少し疲れてしまう。でも、彼女の気持ちは何だか不思議と色々伝わるのだ。感情の変化が静かに表れていて、いつもふんわりとした空気なのだ。
 変わった名前なので、小学生当時も「私の名前も変わっているけど、アナタの名前も変わっているね。」と言っては親近感をわかせていた。そういうことを言っても、「そうだね」とニコニコしているだけの子だ。
 私にとって彼女は安心感、皆と違う自分に焦りを感じた時でも、彼女はいつも変わらない態度で穏やかな空気に包まれていた。
 彼女とは、その後私がさらに転校した後に文通も続き、私が転校先で孤立しているのを知られたくなくて、意地を張ってそこの小学校の自慢話や、友達の話を書いても、いやにならずに、いつもきちんと返事をくれていた。
 そんな彼女とは、一度私がケーキ屋で働いている時、そしてその後札幌に住んだ時に、会ったことがある。「札幌に行く」と連絡があり、小樽などを案内してのんびりお茶でも飲んだ。やはり一緒に静かな時間をすごしたが、彼女はそれで良いようだった。
 その後、さらに8年くらい経ってしまったが、年賀状を交わす程度に細々とまだ続いている。彼女の可愛らしく物静かな感じが、私は気に入っている。