息子は体ばかり、ごっつくなってきちゃって、外見だけはいっちょまえに幼稚園生だが、まだまだ甘えん坊で、しがみついてきたり、寝る時は母さんじゃないとダメと急に抱っこを要求してきたり、疲れてくると、トイレについてきてと泣いたり、手を一緒に洗ってと泣いたり。
 何と言っても、自分の言っている言葉の意味(特にニュアンス)がわかっていないのが、こちらからすれば厄介だ。「例えばあ」と話し始めるし、何か注意するとすぐ「でも」と返すし、「ミツは〜だと思うけど」なんて、‘けど’の音を上げちゃって、しかも他の大人にも平気で言うし小生意気。
 言葉に関しては、とにかくこの時期は、受け止めて捨て……が親のルールだと言うが、おとなげない私はついつい豪速球で返してしまって、大喧嘩になってしまうことも多い。
 しかし、一般的に、4歳代くらいの子供は、詩的な言葉をよく口にする時期らしい。で、我が息子も、ちょこちょこ可愛い言葉を、言い出しましたよ。
 お風呂の時に、何やらわがままを言ってお父さんに怒られ、泣いた後、少しシャワーを浴びて「シャワーと一緒に、ミツの涙も流れていったよ。」と無理矢理笑いながら、ヤケクソ気味に言ったらしい。
 他には、山道の両側から木が垂れ下がっているのを見て。大人の感覚だと「木のトンネルみたい」などと言いますよね。息子は、「木の虹みたい。」と言った。……へぇ、なるほどねぇ。子供って頭が自由で良いなあ。
 まあ、突拍子がないとも言うけどね。
 風が強い日の朝、幼稚園のバスがちょっと早く待ち合わせ時間に着くと、「風が強いから、バスが飛ばされて早く来ちゃったのかなあ?」とかね。風で人や物が簡単に飛ぶと思っているようだし、お友達が「食べちゃうぞ〜」と追いかけてくると、真剣な表情で逃げて私の所に飛び込んでくる。そして「○△君がミツのことを食べるって言う!」とか涙声で訴えるのだ。……あのねぇ。○△君はフザけてるだけだよ。ミツだって食べちゃうぞーって、ウチでフザけてるじゃないの。そもそも……普通、人は人を食べないの。大丈夫なんだよ。幾ら言ってもまた怖がる。心理学のマニュアル通りに「怖かったんだねぇ。」と共感する気にもならないんですけど。こちらも、思わず真顔で否定してしまうんですけど。
 言葉のニュアンスとか、常識とかに気がつくのはいつ頃なんでしょうねぇ。