そのうち何年もして、色々とソフトを買ってきていた夫が「ピクミン」をやり始めた。息子もそれで遊んだ。
 「ピクミン」とは、宇宙のどこかのお話として、ある惑星に不時着してしまった別の惑星の者が、落としてしまったロケットのパーツを探す旅である。様々な敵となる生物に阻まれるのだが、それを手助けしてくれるのが小さな小さな生き物である「ピクミン」。
 ピクミンは、敵をやっつけてそれを、ある特定の場所に運んだり、特別な花の種をその特定の場所に運んだりすると、土にピクミンの芽が出てピクミンが増えていく。と、書くと、植物のようだが、でも動く不思議な生き物である。基本的に赤や青や黄色などのピクミンがいて、それぞれの耐性、攻撃力などの特徴があり、何と言っても「主人」に忠実である。主人に従い敵に向かっていく姿は健気そのものである。時々敵に食べられちゃったりもする。つぶされたりもする。一匹や二匹、そうなったところで大したダメージではないし、犠牲が必要な場合もあるのだが、こちらはすっかり情が移っているので、やっつけられちゃった時に何とも悲しくなり、時にはリセットして闘い直すこともある。
 そして私は、コレにハマったのだ。正確に言えば、「ピクミン3」にである。
 夫も息子も「ピクミン1」と「ピクミン2」を熱心に遊んでいた。私はゲームソフトを次々に買い与えることには反対で、自分たちで選んだのであれば、クリアしてしばらく余韻を楽しむくらい、きちんと遊びきってほしい。そんなに安い買い物でもないし、次々に、欲しいと言われるがままに買い与えるようなことはしたくない。それが私にとって、ゲームを購入する時の、最低限のけじめである。二人は、「1」も「2」も、クリアした。そしてさらにその中で色々と楽しんだ。横で見ているだけで充分楽しい。それに作業やクリアすることがちょっと大変そうなので、私には操作なんかできないと思い、ただ見て楽しむだけに徹していた。
 ところが「3」は、別であった。ピクミンファンにとって、「3」に関しては「あれはピクミンなんかじゃない!」というくらい、違ったゲームの楽しみ方である。敵の倒れ方もそれまでとは違った強さや弱さであり、見つける物も「果物」だし、ゲーム運びもそれまでのピクミンとは全然違う。賛否両論ある。でも私は「3」にハマってしまったのだ。
 夫は当時、時間もなく、偶然時間を見つけてチャレンジしようとしては「これはピクミンじゃないよ〜」と言って不満を露わにしていた。そして私は、息子が遊んでいるのを見ては「ああすれば良いのに」「こうすれば良いのに」という思いを強くしていった。
 「ピクミン3」は、要領の良さが一番に問われる‘せっかちな’ゲームなのである。私にとってそれは、料理をしている時の時間の使い方と似ていた。あれをしている間にこれをして、その間にこっちもできる。と、いかに時間短縮をして、効率良くゲームを進めるかが大事なのである。見つける物も、ロケットのパーツではなく、果物だなんて、女性好みなのではないだろうか。わからないけど。少なくとも私はこの「果物集め」がものすごくわくわくしたし、夫や息子は「ロケットのパーツの方が良い」と言っていた。ちなみにこの果物は、手に取りたいくらいにリアルで美味しそうに描かれてある。