以前に書いたことがある、ピスタチオのアイスクリーム。とうとうこの田舎町にもその風が吹いたらしい。というか、カフェのチェーン店が入れていた。田舎だとか都会だとかは関係ありませんでした。
 でもやった! ようやくピスタチオのアイスクリームを食べることができる! と私の心は大騒ぎだ。
 ピスタチオが大好きで、そのアイスクリームの風味をスバラシイと思っていた私は、そこのカフェでいつも通りの注文をし終わった後に、ふとアイスクリームのメニューに「ピスタチオ」が入っているのを目にした。うおお! とうとう!! という気持ちだった。
 その時はお腹が空いていなかったので、次回来た時に絶対に頼もうと思い、その日を心待ちにしていた。でもチャンスを伺っているうちにピスタチオのアイスクリームがなくなってしまったらどうしようなんてことも心配しながら。
 焦った私は、さほど間をおかずにまたそのカフェに行き、結局さほどお腹も空いていないのにピスタチオのアイスクリームを頼んだ。もう頭の中がピスタチオでいっぱいの一週間くらいだったと思う。ああようやくこの時が来たのだ。ずっと待ち望んでもう10年以上じゃないか! いや20年くらいではないか!!
 そしてはやる気持ちを少し抑えながら少し観察。良い色だ。ピスタチオの色。破片も入っている。良い香りが口いっぱいに広がるに違いないと想像しながら一口。
 ……あれっ?
 ピスタチオの風味がしない。一口だけだからだ。急いで二口目を食べた。
 ……しな〜い!!
 そうやって何口か食べた。歯ごたえはある。ナッツの歯ごたえが。しかし、このナッツはきっとピスタチオなのだろう……と言い聞かせるくらい、その歯ごたえのある物もピスタチオの風味がしない。
 そう、私は最後まで「いつか風味が来る!」と期待をよせながら、ピスタチオの風味を感じないで食べ終わってしまった。
 ガッカリなのだ。全然ピスタチオ感がなかった。
 ピスタチオの風味は、そこまでも一般的じゃないのだろうか。クセがあるのだろうか。
 お腹いっぱいなところへ無理矢理詰め込んだことを非常に後悔しつつ、ピスタチオの香りを感じられるアイスクリームとは出会うのは、まだまだ先なのだと意気消沈したのだったのだ。